福岡の寺院事情

県内には数多くの寺院があります。特に福岡県は全国的に寺院の多い県です。意外に思いませんか?? ある調査では福岡県内には2000以上のお寺があるという結果が出ています。 ここでは、気にしてみると意外と身近にたくさんあるお寺について、私見をまじえながらお話していきたいと 思います。

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1. 福岡の寺院の特徴

強いて特徴といわれることがあるわけではありませんが、地域によって差があることがあります。まず、福岡市内の寺院についてです。中心部の寺院は古くからの歴史ある寺院が多いのが特徴といえると思います。博多は古来より大陸との窓口として大変往来が盛んな土地でした。もちろん、仏教も大陸から入ってくるもので、戻ってきた遣隋使や遣唐使が福岡の地にお寺を開く、ということも珍しくなかったと考えられます。密教の寺院が多いのも納得。福岡市の東長寺や宗像の鎮国寺などは空海が最初に開いたお寺として伝えられています。

市内にはお寺がまとまって建っている地域がありますよね。それは意図的にまとめられたものが多いです。戦国時代頃には、町割りの再編で寺院仏閣を一カ所に集めたりすることがあり、その影響を受けているといわれています。また、広大な敷地を持っていた寺院も多かったのですが、福岡市内では第2次世界大戦中の空襲で焼け、復興と共に郊外に移ったり敷地を提供したり墓地をなくしてしまったりと寺院面積も縮小し、本堂も鉄筋造りのものに建替えたりして今に至っています。
市内中心部でそれが分かるのは、大濠~唐人町のあたりでしょうか。江戸時代には福岡城の近辺に数多くの寺院があり、今でも歴史ある寺院が多く存在しますが、鉄筋コンクリート造りの本堂や納骨堂を多く見かけます。

北九州市小倉周辺でも同様のことがあります。現在の小倉城とその周辺には、とても多くの寺院があったといいます。しかし、江戸時代の政策や戦後の区画整理、現在で言う JR の整備などの影響でかなりのお寺が周辺に散らばってしまいました。その影響を受けずに残っている寺院も西小倉駅周辺にいくつかありますが、町の様子も変わってしまい、街道の面影を感じるのは難しくなっています。

久留米市内には「寺町」という地名があります。こちらも江戸時代に藩の政策で各寺院が一つの通りに集められたということです。現在は寺院数が少なくなりましたが、寺町として宗派を超えたお寺同士の結束もまだまだ健在です。

その他、ある寺院を中心としてその関連寺院である「塔頭(たっちゅう)寺院」がまとまっている例(福岡市博多区聖福寺周辺)や霊場にたくさんのお寺が存在する例(篠栗霊場)、特定の宗派がまとまっている例(北九州市足立区の黄檗宗)などもあります。

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2. 福岡の寺院の現状

福岡県内の寺院数は2400ともいわれていますが、その数は年々減少しています。特に過疎化の進む地域では、寺院があっても維持できなかったりして廃寺が進んでいます。また、後を継ぐ人がいなくなり無住寺(住職が存在しない寺)も増加しているといいます。特に福岡市以外は人口の流出も甚だしく、お寺の利用者(檀家、門徒、信徒など)の減少に伴い存続が難しくなるお寺も数多くあります。そういったお寺では兼業住職もあり、農家、公務員、教員や他のお寺に雇用してもらったりして生活を支えながら寺院を維持している状況です。また、宗教離れ、他県との転出入なども多く、お寺としては厳しい時代といえるのかもしれません。特に福岡ではいわゆる「観光寺」というものはたいへん少なく、そういったことによって収入を得るということも難しいといわれています。

寺院も運営していく必要がありますが、福岡のお寺はお金儲けが下手で、寺院としての本分を全うすることに力を入れているところが多い、ということもいえるのかもしれませんね。

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3. 福岡の寺院の取り組み

しかし、寺院もじっと潰れるのを待っているわけではありません。様々な方法で、多くの人にアプローチをしています。まずはお寺に来てもらおう、という取り組みを目にすることが多くなってきませんでしたか?そうです、お寺は待ちの戦法だけでは足りないと思い、自ら攻めていく姿勢を見せているのです!

「開かれた寺院」という言葉

まずはお寺に来てください、という取り組みは数多くありますが、ここではそのうちのいくつかをご紹介します。よく耳にするのが「ヨガ教室」「音楽イベント」の会場としてお寺を利用するものです。最近は大変増えてきたように感じますし、以前からそういったことを行っている寺院が情報発信する機会が増えてきたともいえると思います。今は SNS などを媒体として情報発信も手軽にできるようになりました。SNS を利用している寺院もどんどん増えてきています。

福岡市早良区の浄覚寺では、HP、ブログ、SNS を利用して多くの人に情報発信を試みています。ヨガ教室、子どもたちのための「タツノコきっず」、誰でも参加可能な「おあさじ」など、お寺に来やすくなる取り組みを行っています。

浄覚寺 HP http://jokakuji.com/ facebook https://www.facebook.com/jokakuji/

次に、行政と協力しながら行う催しです。

福岡市東区にある如意輪寺(臨済宗)では、秋から春にかけて「禅寺で食す精進料理」という催しを行っています。この催しの情報発信方法は福岡市の観光情報を発信する「福たび」が行っています。
http://yokanavi.com/jp/fukutabi/program_detail/1387

また、その他では福岡市中央区の圓應寺では、福岡市やコンベンションビューローを後援としたお寺独自の催しを行っています。圓應寺ではその他の団体(NPO 法人など)と協力しながら、お寺を中心として地域を盛り上げる活動にも大変熱心に取り組んでいます。
http://www.welcome-fukuoka.or.jp/event/1799.html

お坊さん自体が動くことでお寺の敷居を外そうとしている取り組みもあります。北九州市小倉南区の浄泉寺では、副住職が普通のカフェでお話をする「お坊さんとティータイム」という取り組みを続けています。町のカフェにお坊さんがいて、どんな話でも構わないので直接お話が出来るという珍しい機会を提供しています。料金はそのカフェでの飲食代のみ。お坊さんの方でもお話のメニューをご用意しています(もちろんメニューいがいでもお話しできます)。仏教やお寺に対して敷居が高いなら、踏み台を用意して超えてもらいましょうという、ユニークな発想です。このお寺では、SNS での情報発信と、手書きのお便りを月1回出すことで多くの方とつながりをもっています。寺院でのヨガ教室や絵手紙教室などと併せて、「敷居の無いお寺」として活動を続けています。
facebook https://www.facebook.com/T.Jousenji/

上にあげた寺院はほんの一例ではありますが、その他にも活動している寺院はたくさんあります。美術展示の会場になったり、地域と連携した街づくりに参加したり、演奏会を催したり、様々な方法でアプローチをし続けています。お寺はお葬式と法事のときにしか縁がなかったあなたも、まず通りかかったお寺に興味を向けてみませんか?通りかかったお寺で不安でしたら、アノヨコノヨで紹介している中で、あなたの気になるお寺を見つけてみてはいかがでしょうか。

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4. 福岡のお寺と供養の話

納骨堂の話

さて、お葬式や法事以外に関わりがないという方でも、避けて通れないのが「供養」の話です

アノヨコノヨの「納骨堂」のところでもお話ししていますが、県内で「納骨堂」を探す場合には、ほとんどが寺院納骨堂です。
その理由としてお伝えできるとすれば

1.人口の多い福岡市には公営納骨堂がないこと(各地域にある納骨堂は、その近隣住民のみが利用できる)。
2.北九州市には公営納骨堂があるが、空きが少なく、大変な倍率になること。
3.民間霊園にはほとんど納骨堂がないこと。

という 3 点を挙げられるかと思います。
それに対して寺院の納骨堂は空きがある場合、随時受付をしています。

寺院納骨堂は、基本的に檀家、門徒になることが前提とされています。また、使用料の他に年間管理料のようなもの(呼び方はいろいろあります)が掛かります。中には、宗派問わず申し込みが出来るところもありますが、納骨堂内でのご法要はそのお寺の宗派に限るというところがほとんどです。ご自宅に仏壇があり、ご遺骨の行き場がないという方にはとてもよい条件かもしれませんね。その場合は、そのお寺の檀家、門徒になる必要はないということになります。

さて、お寺と縁をもつことを避ける傾向にある方が増えていますが、お寺の納骨堂にはメリットがあります。それは公営の納骨堂では叶わないことです。

大きく2点が考えられます。

1つ目は、「生前申込が可能」ということです。
公営納骨堂は焼骨があって初めて申込が可能です。それは公営の墓地も同じで、福岡市営・北九州市営ともに焼骨があるというのが申込の前提になります。生前申込が可能なら、申込者の子孫もご遺骨の安置場所に困らず安心ですし、寺院内ですので管理もされています。自分が入るなら...という視点で納骨堂探しが出来ますし、注目されている「終活」の一環としてお考えいただけるかと思います。
2つ目は、「永代供養の相談が可能」ということです。公営の納骨堂や霊園は承継者がいることも前提となっています。寺院納骨堂も同じく承継者が必要なのですが、実はお寺では永代供養の相談に乗ってくれるのです。継承が出来ないなどの事情が発生した場合、たとえ料金が明示されていないとしても一緒に解決しようとしてくださいます。お寺の中に永代供養墓のあるところもありますし、納骨壇のまま永代供養ができることもあります。また、継承者への説得にも力を貸して下さることでしょう。

お寺での納骨堂もなかなかいいものだと思いますよ。なにより、信頼できる素晴らしいお寺と巡り合えることが、とてもステキなことなのですけどね。

お墓の話

次はお墓のお話です。

寺院にある墓地は「寺院墓地」などと呼ばれますが、墓地も受付中の寺院はあります。お墓については基本的に継承有・檀家、門徒になること・土地代と墓石代は別途・管理料を支払う、という基本的な制約がありますので、公営、民営の霊園とは宗教の縛りがあるかないかという点で大きく異なります。また、形や彫刻する文字に制限があることもあります。それは、仏教に基づいた考え方であり、各宗派やお寺によってその考えが異なっているためで、何の意味もなく規制しているのではありません。そういった縛りの無いお寺であれば、檀家、門徒になることが条件としてあるだけです。

寺院墓地(特に福岡市内)についての最大のメリットは、アクセスの良いお寺が多い、ということです。お墓は建てて終わりではなく、お参りに行ってこそですよね。その場合、郊外や交通の便の悪い霊園よりもお参りに行きやすいという大きなメリットがあります。また、傾斜や段差が少ない寺院が多いというのも大変魅力的です。
市内の寺院は広い墓地をもっていないとしても、敷地自体が平坦であることが多いので、敷地内の移動もとても楽です。

永代供養墓の話

何かと話題の永代供養についてです。

継承者がいない、迷惑をかけたくないなどの理由から永代供養を選ぶ人も増えています。霊園の樹木葬などが有名ですが、お寺でももちろん永代供養をしてもらうことが出来ます。

お寺では「永代供養」「永代経」などの呼び方をしますが、そのお寺が続く限り供養をしていくということです。民間霊園などで「永代管理」などという言葉がありますが、そこには供養は含まれていないことがあります。しかし、お寺ですからきちんと供養してくれます。やはり、お寺で永代供養をお願いする一番のメリットは、ちゃんと供養してくれるという安心感かと思います。きちんと顔を合わせたことのある住職が毎回の供養をしてくださる。それは、誰が来てくれるかわからない供養より安心ですよね。

さて、お寺で永代供養を前面に打ち出しているところは案外少ないです。基本的には、その檀家、門徒が困ったときのために用意をするのが「永代供養墓」で、一般に向けたものではないものが多いのです。ただし、そういった従来の永代供養墓から、時代の流れを汲んだものに変革しようとしている時期に差し掛かっているのです。
不明瞭だった金額を明らかにし、生前の宗旨宗派を問わず管理料も必要ないという永代供養墓が福岡でも登場しています。

北九州市小倉北区の長圓寺では、1霊25万円で生前の宗旨宗派は問わず17年間骨壺で安置の後合葬というスタイルで受付しています。もちろん生前申込も可能です。お参りに行きやすい駅徒歩圏の坂道もない場所で永代供養を申し込むことが出来る、ということは大変安心です。納骨に立ち会うこともできますし、合祀墓へのお参りも負担がありません。オプションで年回忌の法要も可能です。

お寺というのは本来人々を助け導くところでもあります。困っている人をなんとかできないだろうか、というお気持ちからこういった永代供養墓が生まれているのではないか、と思います。

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